女の子と女性の教育

女の子が教育を受けられない原因は?

◆社会的な理解の不足

女の子や女性が教育を受けることに対する理解が不足しているため、親や地域社会、そして女の子や女性自身が、教育を受ける意欲を喪失してしまうことがあります。

◆児童労働/負担の大きい家事労働

貧困家庭の子どもは、学費を払えない、家計を助けなければならないという理由から、水汲みや農作業、家族の世話などの負担の大きい家事労働や、農業や繊維産業などの経済的活動に従事させられることがあります。


◆早婚/幼児婚

女の子が16歳未満で、さらに貧しい農村部では、10代未満で結婚しています。インド、ネパール、バングラデシュなどの南アジア地域に多く、女の子や女性の教育および就業の機会を阻害していることが指摘されています。

◆女の子にやさしい教育環境の未整備

学校トイレが男女別になっておらず汚れていたり、長い通学路は道路の冠水や野生動物の襲撃、性犯罪などの危険が伴うこともしばしばです。また、女性教員数は不足しているのが現状です。中学校が近くにないので、小学校に女の子を行かせるメリットが少ないという実情もあります。


数字で見る女の子の現状

国名

平均寿命

5歳未満児
死亡率
(1000人中)

妊産婦死亡率
(10万人中)

若者
(15-24歳)
の識字率
(男子、女子)

小学校
就学率
(男子、女子)

中学校
就学率
(男子、女子)

日本

83歳

4人

6人

100%、100%

101%、102%

アフガニスタン

44歳

257人

1800人

49%、18%

65%、40%

28%、9%

インド

64歳

69人

450人

87%、77%

90%、87%

59%、49%

ネパール

67歳

51人

830人

85%、73%

81%、78%

46%、41%

パキスタン

67歳

89人

320人

80%、60%

73%、53%

92%、88%

ヨルダン

73歳

20人

62人

99%、99%

88%、89%

95%、96%

カメルーン

51歳

131人

1000人

72%、59%

35%、28%

ブルキナファソ

53歳

169人

700人

47%、33%

62%、54%

18%、13%

リベリア

58歳

145人

1200人

68%、76%

32%、30%

「EFA Global Monitoring Report2010」、「ユニセフ 世界子供白書2010特別版」より

*小学校就学率は純就学率、中学校就学率は総就学率を示す。総就学率とは、一定の教育レベルにおいて、教育を受けるべき年齢の総人口に対し、実際に教育を受けている(年齢にかかわらない)人の割合。それに対し純就学率とは、一定の教育レベルにおいて、教育を受けるべき年齢の人口総数に対し、実際に教育を受けている(その年齢グループに属する)人の割合。
「ユネスコ・アジア文化センター:識字用語集」より

女の子が教育を受けると?

女の子が教育を受けることで、女の子や女性自身が一人ひとりの可能性を伸ばすことにつながります。またそれだけでなく、地域や社会全体が変わる効果があること、そして次世代にその効果がつながると言われています。

◆女の子が小学校を修了するとHIVの感染率が半減

女の子は性交渉における決定権をもてない、また性産業に従事されがちという理由でサハラ以南のアフリカではHIVに感染する10代の若者のうち3人に2人は女の子。(UNICEF,UNAIDS,WHO,2006)しかし、女の子が5年間の初等教育を受けると、性感染症についての知識や身を守る方法などを習得でき、その感染率は半減すると言われています。

◆女の子が小学校を修了すると、将来産む子どもが5歳まで生き延びる率が40%向上

例えば、アフガニスタンでは1,000人中257人(日本は4人)が5歳の誕生日を迎えることができないなど、途上国の子どもの死亡率は深刻です。(ユニセフ 世界子供白書2010特別版)。
一方で、女の子が初等教育を5年間受けると、保健・衛生、栄養などの知識を得るため、将来産む子どもが5歳まで生き延びる率は40%以上も上がると言われています。 (世界銀行東京事務所「21世紀の女児教育:ジェンダーの平等、エンパワメント、経済成長」2009)


◆女の子が小学校を修了すると、地域の栄養不良率が43%低下

ケニアでは、初等教育を終えた女性が農作業に加わることで地域における収穫率が向上したという報告があります(UNFPA2005)。また栄養についての知識を習得することから、子どもの栄養不良率、ひいては地域の栄養不良率が43%低下するという試算があります(世界銀行東京事務所「21世紀の女児教育:ジェンダーの平等、エンパワメント、経済成長」2009)。

◆女の子が中等教育を受けると地域・国の経済に好影響

女の子の就学率が高いほど、国のGDP(国内総生産)も上がるという報告があります。知識や技術を身につけた女性たちが生産活動に加わることで、家族や地域が経済的に潤います。
反対に、65の途上国や東欧諸国では、多くの女の子が中等教育を受けられず、その経済的な損失は年間10兆円という試算があります(PLAN Paying the price 2008)。


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「世界中の子どもに教育を」キャンペーン事務局まで (プラン・ジャパン内)
TEL: 03-5481-0030  FAX: 03-5481-6200  E-mail: education@plan-japan.org