教育の機会を奪われるウクライナの子どもたちと、攻撃される学校

イリナさんとニコリナさん

【ウクライナの紹介】

ウクライナは、東ヨーロッパに位置する国です。面積は約60万3,700万㎢で日本の1.6倍ほど、4,159万人(ウクライナ危機の前、2021年時点)が暮らしていました1)
小麦やとうもろこしを育てており、「ヨーロッパの穀倉」と言われ、国土の約7割が農用地です2)。大きな河川があり水に恵まれていることや、栄養豊富な土があるため農業が盛んです3)
首都のキーウには、歴史的建造物が数多くあり、世界遺産である「聖ソフィア大聖堂」や、世界的に有名なウクライナ国立バレエの本拠地であるウクライナ国立歌劇場が有名です3)
ウクライナ料理には、「ボルシチ」や、「ワレニキ」などがあり、ワレニキは小麦粉の皮でじゃがいもなどの野菜や、ブルーベリーなどの果物3)を包んだものです。

クリーム色がウクライナであり、首都はキーウです。
(参考:外務省)

【ウクライナの状況】

ウクライナ東部では2014年から約8年にわたる紛争が続いていました。そして、2022年2月に戦闘が激化して以降、さらなる危機に直面しています4)。子どもを含む市民591万人以上が国内で避難を強いられており、また1,700万人以上が国境を越えて国外へ避難(2022年12月現在)4)しています。
この危機はウクライナで暮らす人たち、特に子どもたちの生活を一変させました。ウクライナ教育科学省によると、戦闘が激化して以降、砲撃や爆撃により、少なくとも1,888の学校が損壊し、ウクライナに暮らしていた750万人の子どもたちの教育の機会が奪われました5)

また、戦闘が続く地域で避難を余儀なくされている子どもたちは、けがや、死亡するリスクに晒されています。食料や安全な水を得ること、保健医療の利用が難しい状況にあります6)

【ウクライナの子どもたち】

安全を求めて、多くの家族や子どもたちが国内や国外に避難しています。
キーウ出身、妊娠7ヶ月のイリナさんは10歳の娘ニコリナさんとともに避難しました。混雑から逃れるために、娘と一緒に列車の中にある使われなくなったトイレに身を寄せて移動しました。ニコリナさんは、「駅の近くに来たとき、たくさんの兵士がいて怖かったです。機関銃を持っている人もいれば、ライフルを持っている人もいました」と、話します7)

また、13歳のマリアさんは、学校の教室だったところで避難生活を送り、60人でトイレを共有して暮らしています。「地元を離れるとき、もう爆発音が聞こえないと思うとうれしかったです。でも、自宅のアパートから避難しなくてはならなかったのは悲しかったです。今、私たちはこれまでと違う環境の中で暮らしています。すべてが変わりました。体は大丈夫ですが、精神的には大変でした。家に帰られることを望んでいます。」と話します5)

この危機は、子どもたちに身体的、そして精神的に大きな影響を及ぼしています。ウクライナの家族を対象に実施された調査では、85%が精神保健・心理社会的支援を必要としていることがわかりました8)。さらに、多くの子どもたちが質の高い教育を受ける機会を奪われています。

参考:
1)外務省 欧州 ウクライナ
2)農林水産省 「ウクライナの農林水産業概況」
3)小学館 「ウクライナがどんな国なのか知りたい! 主要産業から観光地まで」
4)国連UNHCR協会「活動地域 ウクライナ」
5)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「【ウクライナ危機】紛争から100日-多くの学校が被害に」
6)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
「【ウクライナ危機】国内で子ども600万人が深刻な危機に直面-学校や病院への攻撃」
7)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「【ウクライナ危機】紛争から3ヶ月:「どこで、どうやって暮らしていけばよいか分からなかった」-ルーマニアに避難した母親たちの話」
8)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「ウクライナから避難してきた子どもたちへー世界で最も過酷な紛争地域で暮らす子どもたちからのメッセージー「運動をしよう、絵を描こう、そして自分を信じよう」

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