【記者会見@G7広島サミット】―5月19日、C7として「紛争下の教育×平和」のテーマで記者会見を行いました。

G7広島サミットの公式エンゲージメントグループであるCivil7(C7, シーセブン)*1は、市民の声をG7首脳に届けることを目的に、5月18日(木)から21日(日)の4日間、国内外のNGO・NPOによる記者会見や展示などを開催しました。C7には、「核兵器廃絶」「気候と環境正義」「公正な経済への移行」「国際保健」「人道支援と紛争」「しなやかで開かれた社会」の6つのワーキンググループがあります。

JNNEは、このワーキンググループの1つである「人道支援と紛争」に参加をし、紛争下における教育支援の重要性を政策提言の形でG7各国に伝えてきました。G7サミット期間中の5月19日(金)、2023年度の【SDG4教育キャンペーン】の事務局であるセーブ・ザ・チルドレン担当者とユースメンバー、また「人道支援と紛争」ワーキンググループのコーディネーターが記者会見を行い、改めて人道危機における教育の大切さと、日本政府への要望を訴えました。
(記者会見登壇者:ジャパンプラットフォーム(JPF)柴田裕子さん、セーブ・ザ・チルドレン(SCJ)川口真実さん、SCJ・インターン菊地翔さん、SCJ・ユース春日香希さん)

人道危機において、教育は最も資金拠出の少ない分野です。戦争や紛争などの深刻な人道危機においては、子どもと若者は、家、家族、愛する人々を失うだけでなく、教育や安全な学習環境へのアクセスも失うこととなります。今も世界で2億2,200万人の子ども・若者たちが武力紛争や強制移動などの危機により教育を阻まれており、教育へのアクセスを失うことは、子どもたち一人ひとりの将来やより広範な社会の将来に直接影響を及ぼします。記者会見で、セーブ・ザ・チルドレンの川口さんは、紛争などの危機的状況において、最も影響を受けやすい教育へのアクセスを改善するためにG7各国に具体的に次のことを求めました。

記者会見の様子(SCJインターンの菊地さんとユースの春日さんはZoomより参加)

●十分かつ安定した資金を拠出し、人道支援において教育を優先させて下さい。特に「教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait)*2」への増資目標が達成されるよう資金を拠出すること。また、難民受け入れ国の教育システムに、難民を包摂するための取り組みに投資をすること。

●特に、改定された「包括的学校安全枠組」を適用し、学校や教育パートナーが危機に対処し、その影響を低減し、回復力(レジリエンス)を高められるように、災害への備えと災害リスク低減に投資をすること。

●緊急時および長期化する危機下における子どもの教育へのアクセスを確保し、人道危機の影響を受けた少女や女性を優先することを約束した、2021年のG7「女子教育宣言」、および2018年の「シャルルボワ宣言」をはじめ、女子教育に関するこれまでのコミットメントを再度強調すること。

会場には、新聞部に所属する高校生も参加し、「国際比較で日本の若者の政治への関心が相対的に低い理由はなぜだと思うか」といった質問があがりました。これに対し川口さんは、現在子どもは社会活動を含め自分に関わることの決定プロセスにあまり関与できていないことが一つの要因だと指摘し、子ども参加を推進していく必要性にも触れました。

また、紛争下の教育に対して行動したいと思った時に、「何から始めれば良いのか?」という質問もありました。ユースの春日さん(大学2年生)は、「これまで自分の一票がどれほど現状を変えられるか実感できてこなかったが、ユースの活動を始めてから心境が変わった」と語りました。最近ユースとして登壇したイベントで、参加者から「(春日さんの発言によって)気づきを得た」と言ってもらえたことで、誰かに影響を与えられた手ごたえを感じることができたそうです。こうした実感を若者が持てるような場を持つことが必要なのでは、と自身の考えを述べました。SCJインターンの菊地さんも、「一人で大きなことをするのは難しいが、それぞれが小さなことからはじめて、みんなの関心が高まることで様々な活動がつながっていき、結果的に世界が良くなっていく」と語りました。

市民社会として、JNNE(教育協力NGOネットワーク)は教育を受けるという子どもたちの権利を保障するため、【SDG4教育キャンペーン】を実施してきました。学校は、子どもたちが基本的な読み書きや計算能力を身に着ける場ですが、それに加え、紛争などの危機がおきた際、子どもたちを守り、子どもの命を救う場所となります。学校や学習環境は、子どもが安全に学び、遊べる場を提供し、児童労働、性的虐待や性的搾取、軍・武装勢力への勧誘といったさらなる暴力から子どもを守ります。さらに、精神的・身体的な保護、食料・救援物資へのアクセス、地雷回避教育、危機や緊急時に生き残るためのスキルなど、命を救うプログラムの実施を可能にします。何よりも子どもたちは教育を受けることを望んでいます。

日本はG7諸国の中で、唯一「教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait)」への拠出をしていません。C7の記者会見では、人道危機下で教育を中断させない重要性が強調され、日本政府に対して上記基金への拠出が改めて求められました。

■5月20日に発表されたG7広島首脳宣言に対するJNNEの声明は、こちらから下さい。

*1C7(シーセブン)について:
G7には、「エンゲージメントグループ」と呼ばれる、政府とは独立したステークホルダーにより形成される各グループが存在し、G7で議論される関心分野について、G7の成果文書に影響を与えるべく政策対話や提言を行います。Civil Society 7(通称C7)はこのエンゲージメントグループのひとつで、市民社会により組織されます。毎年、議長国の市民社会が中心となって、G7国のみならず、G20諸国や開発途上国等の市民社会と協働しながら提言をまとめ、G7に向けて発信します。

詳しくは下記をご覧ください。
https://g7-cso-coalition-japan-2023.mystrikingly.com/#top

*2教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait)は紛争などの緊急下・危機下の教育のための国際基金です。
Educaion Cannot Wait
活動を日本語に翻訳した記事はこちらにまとめられています

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